「沖縄発」の釵(サイ)制作ストーリー 1
2022年、沖縄の地で創業した私たちは、創業メンバー全員が空手を縁に繋がったことから、発足当初から沖縄空手の発展や保存継承に貢献することを事業の柱とすることを決めていました。 遡ることその1年前の2021年、創業準備として、沖縄空手界をヒアリングして回っていた中で出てきた課題のひとつが 「世界的な釵不足」でした。 当時はまさか自分たちで釵の製造を手掛けるなど想像もしていませんでしたが、とある道場に残されていた古い手作りの釵に感銘を受け、そこからこのチャレンジが始まりました。 しかし、そこからが苦難の連続でした。
「沖縄発」の釵(サイ)制作ストーリー 2
元々ものづくり初心者の我々には何のノウハウもなく 県内の金属加工業者や鍛冶屋を回りましたが、 現代の国内技術ではコストに見合う生産は不可能、 という回答でした。 やっとの思いで製作したサンプルも、 実用に足るものではありませんでした。 そうして1年半あまりが経過した頃、 沖縄県の産業振興公社が間に入って紹介頂いた 県内有数の金属加工メーカーの海邦ベンダー工業社 (https://www.kaiho-bender.com/)が興味を持ってくださり、 様々な検討の結果、生産工程の一部を中国で行う事で、 なんとか生産の道筋をつけることが出来ました。
「沖縄発」の釵(サイ)制作ストーリー 3
そこから、県内の様々な古武道の道場や先生方を回り、 各地に残された古伝の釵を調査、理想の釵について情報収集やヒアリングを実施しました。 昔の鍛冶屋や、海外の職人の手による手作りの釵は、 それぞれ思想が込められた素晴らしいものばかりでした。
「沖縄発」の釵(サイ)制作ストーリー 4
その調査から見えた内容を、現在の古武道の競技の規定の枠内でどう表現するか…最新の技術を用いた設計とサンプルの制作が始まりました。 作成したサンプルを先生方に見て頂き、製造リミットギリギリまで、10gの重心位置調整、1センチの長さ調整にこだわり、ようやく最終版がフィックスしました。 バランスの良さ、使いやすさには自信があります。販売店やイベント会場などで機会あれば、ぜひお手に取ってお試しください。
「沖縄発」の釵(サイ)制作ストーリー 5
柄頭には、「釵」の刻印入り。 柄のデザインは丸みを帯びた形にしていますが、 これは古伝の釵の柄が球形のものが多かったことから、 デザイン要素として取り入れています。 握りとしても、小指側にあまり干渉しない作りとなっています。